事例紹介
消費量が激減した国産牛肉の流通を目指した、飲食店における「テイクアウト・デリバリー」の活用。
有限会社秀吉
岩手県
取組C
テイクアウト・デリバリー等の活用

「国産牛肉」の販売・生産に関わる事業者、そして飲食店を支援するために
当社は、岩手県盛岡市内に7店舗の飲食店を経営(飲食事業部)し、加えて岩手県の食材を全国に販売する事業(食材事業部)と、インターネット販売を行うEC事業を展開しています。今回のコロナ禍は、飲食店の経営に厳しい状況をもたらしました。また、食材事業部はその売上の8割近くが飲食店・業務店向け販売「CHEF’S WANT」であったため、こちらも飲食店の時短営業や休業、閉店により厳しい状況に陥りました。当社の調達先である岩手県内約70社の生産者・製造者も同様に苦境に立たされています。
そこで今回、販路新規開拓事業を活用させていただき、最も厳しい状況となっている食材の一つである牛肉の販路開拓に取り組みました。外食産業が停滞する中、高級な国産牛肉の消費量は激減し、食肉販売事業者は大量の在庫を抱えています。それに伴い、子牛を生産する繁殖農家、子牛を購入して育てる肥育農家も厳しい状況が継続しています。販路開拓によってこの状況を打破し、少しでも多くの牛肉を流通させたいと考えました。また、コロナ禍で苦境に立たされている当社取引先・飲食店の支援も販路開拓の目的の一つでした。そして、新たな販路として取り組んだのが「テイクアウト・デリバリーの活用」です。
サイト内で「テイクアウト・デリバリー用食材」を飲食店に訴求

具体的には、当社の「CHEF’S WANT」という飲食店・業務店向け販売において、テイクアウト・デリバリー向けに牛肉を販売するというものです。
「CHEF’S WANT」は月平均170店舗の利用があります。滞留している国産(青森県産、岩手県産、宮城県産)牛肉をテイクアウト・デリバリー用に利用いただき、多くの一般消費者に食べてもらう取組を実施しました。取組に協力いただいた17店舗では、国産和牛を贅沢に使ったステーキ弁当や、野菜と一緒に甘辛く炒めた焼肉丼など消費者が手に取りやすいオリジナルメニューにて提供していただきました。
「CHHEF’S WANT」はこれまでテイクアウト・デリバリー用として打ち出して食材の販売を行ってきませんでした。今回新たな取組として、「CHEF’S WANT」サイト内に「テイクアウト・デリバリー用食材」のページを作成。そのページにおいて、販売する牛肉の紹介と提供方法、調理法、調理時間、コストなども含めて情報提供しました。飲食店が手間をかけずに注文を行えるような注文フォームも作成しました。
また一般向け販売である「Olahono」サイト内に取引飲食店を紹介するページを設け、テイクアウト・デリバリーを行っている店舗としてメニューを共に紹介し、「Olahono」会員向けに発信しました。さらにキリンホールディングス(株)様にも協力いただき、今回の取組を紹介し新規の販路開拓も行いました。
新しい販路開拓のきっかけに。生産者からも喜びの声

飲食店は基本的に飲食事業がメインですから、テイクアウト・デリバリーはやはりプラスαの取組になってしまいます。人手が少ない中で、テイクアウト・デリバリーをできる店舗はどうしても限られます。
その中でも、新たな挑戦としてとらえていただいた、17店舗の飲食店に参画していただきました。本当にありがたいと思っています。特に当社が尽力したのは、牛肉を購入し、テイクアウト・デリバリーを実践していただいた飲食店の方々に対して、新しいメニューの提案や冷めても美味しく食べられる調理の工夫など、売上支援に繋がるサポートをさせていただいた点です。一方、生産者からは、一部在庫を消化できたことに喜びの声が届いています。
結果的には、販売目標に届かなかった店舗、完売した店舗と様々ですが、「テイクアウト・デリバリー」を行う事業者が増えている中で、飲食店での牛肉販売の難しさを実感しました。ただ新しい販路開拓のきっかけになり、次に繫がるステップを踏み出させたのではないかと思います。今後さらに検討を重ねていきたいと考えていますが、「テイクアウト・デリバリー」に活用しやすい食材やレシピを紹介するなど、継続して情報発信することで、販路の定着を進めていきたいと思っています。