事例紹介
コロナ禍の大きな影響を受けた関東・東北産和牛、キャンペーンの実施による販路開拓の取組。
帝神志方ミート株式会社
兵庫県
取組D
創意工夫による継続的な販路の開拓

関東・東北の和牛が、コロナ禍により出荷頭数が大幅に減少
当社は国内のほぼ全域産地の和牛を仕入れ、加工の上スーパーや精肉小売店に販売する畜産加工卸業を営んでいます。コロナ禍は和牛の生産者や産地に大きな影響を与えました。外出自粛要請、海外との往来の制限などにより、外食需要やインバウンド需要が著しく低下、和牛の消費は減少している状況が続いています。特に和牛の一大産地であった関東・東北地方は、2011年の東日本大震災以降、風評被害に苦しみ需要が低迷していました。近年出荷頭数が回復傾向にあっただけに、コロナ禍以降の出頭数の減少の影響はさらに甚大であると、生産農家から直接伺っています。事実、本事業において調達する茨城県産・宮城県産・福島県産の直近の総出荷数はコロナ禍前に比べて40%以上低下しています。
畜産農家の存続・成長を支援するため、これまで小売向けにほとんど卸していなかった関東・東北産和牛を、キャンペーンという形で提供することで新たな販路を開拓、国内和牛市場の活性化に貢献したいと考えました。
茨城県産・宮城県産・福島県産和牛に特化したキャンペーンの実施

今回、当社販売先であるスーパーや小売店とともに、関東・東北地方の和牛の消費者への需要喚起を目的とした「脱・コロナ社会までもう少し!最後の内食応援キャンペーン」を実施しました。これは、販売量が低迷している茨城県産・宮城県産・福島県産和牛の需要喚起に特化したキャンペーン。本事業の趣旨に賛同する当社販売先小売店5社、22店舗において、購入およびファン化に繫がる売り場作り等を展開しました。
具体的には、茨城県産・宮城県産・福島県産和牛を特設売り場、または精肉売り場のゴールデーンゾーンで、大々的に魅力を訴求。キャンペーンを盛り上げる販促物として、キャンペーン専用のぼり、タックシール、POPを作成し、各店舗に提供しました。キャンペーン期間中に、キャンペーン対象商品を2パック以上購入いただくと、その場でエコバックがもらえるプレゼント企画も実施しました。また、キャンペーン期間中は取引先精肉小売店等にホームページやチラシを通じて、積極的な広報活動を依頼しました。
東北・関東産和牛のファン拡大による販路定着化へ

キャンペーンは、和牛と比べて安価である海外産を購入する消費者層を特にメインターゲットとしました。キャンペーンを通じて和牛の購入機会を創出し、海外産に比べて美味しさや柔らかさ、香りの良さを実感していただくことで、和牛ファンを拡大することを目指しました。
新たな販路開拓で多くの畜産農家からも喜びの声が届いています。消費者の方にも、「やっぱり和牛は美味しい」と再認識していただく機会にもなりました。個人的には東北・関東の和牛は、関西の和牛と比べると赤身であることが多く、関西の和牛に見慣れたお客様に牛肉の新たな魅力を感じていただけたと思います。リピート購入するお客様も着実に増えたことから、今後の販路定着に繫がるきっかけになったと思います。
また、販路の定着化へ向けた取組の一つとして、本キャンペーンの消費者の反応を検証し、3~6ヶ月に1回、当社が取引先精肉店等に関東・東北産和牛キャンペーン売り場の構築と実施を提案していく計画です。その際、参画いただける取引精肉小売店等を増やすことで、長期的な関東・東北産和牛の消費拡大を実現したいと思っています。また、精肉小売店等以外の販売チャネルで、関東・東北の和牛、果物、野菜、水産物を一ヵ所に集めたイベント開催や当社直販サイト等で、消費者への購入意欲の向上と購入機会の拡大に取り組んでいきたいと考えています。