事例紹介
消費が低迷する砂糖の新たな販路開拓。学校給食に「和」のデザート「ぜんざい」を提供。
ホクレン農業協同組合連合会
北海道
取組E
学校給食への食材提供

外食自粛や旅行需要減少により砂糖の消費が低迷
当会は北海道内の農業協同組合が出資し、組合員が生産した農畜産物を集荷して販売する役割を担うことを目的として設立された組織です。当会の役割の根幹は、生産者の営農活動を支える「生産者支援」。もう一つの役割が消費者への食の安定供給です。全国の消費地・消費者に安全・安心な北海道産農畜産物の供給を行っています。また、北海道ブランドの構築やPR活動など、新しい需要を開拓する活動も展開しています。
コロナ禍は北海道の農畜産物生産者に影響を与えています。特に、土産物の原料に使用されていた北海道産砂糖は、国内の外出自粛やインバウンドを含む旅行需要の減少により消費が低迷。在庫が増加している状況にあります。この状況を打開するため、今回の販路開拓事業を活用させていただきました。
北海道産100%の原料で作られた「ぜんざい」を学校給食へ

今回当会が実施事業者となり、北海道農政部、北海道教育庁、市町村教育委員会のご協力のもと、全道の公立小中学校・支援学校の生徒の約6割にあたる21万人を対象に、「和」のデザート「ぜんざい」を学校給食にて提供させていただきました。
「ぜんざい」の原材料は、北海道産100%のてん菜糖(ビートと呼ばれる大根のような白い根から作られる砂糖。まろやかな甘さで、豊かな風味とコクが特長)と小豆のみであり、その点が特徴の一つです。また、より「和」の味わいを楽しんでいただくために、トッピングに北海道産大豆を使用したきな粉も提供しました。
北海道産の原材料を使ったデザートを短期間で大量に製造し、広大な北海道の各学校の給食予定日に間に合うように配送を行うことは容易ではありませんでした。それでも各学校への周知、取りまとめ、商品の納入までスムーズに実施することができたのは、製造元のサザエ食品(株)様や納品を担っていただいた(財)北海道学校給食会様をはじめ、関係各機関の全面的なご理解とご協力があったからこそだと強く感じています。
子どもたちに北海道農業と農産物を知ってもらう「食育」の機会を提供

「ぜんざい」は、子どもたちが普段食べなれていない「和」のデザートであり、子どもたちの好き嫌いはあったと思いますが、デザートを提供した学校からの報告では、味に対する評価は概ね好印象です。今回のデザート「ぜんざい」の提供は、将来の北海道を担う子供たちに北海道農業と農産物についてもっと知り、興味を持ってもらう「食育」が目的の一つでした。各学校においても、「砂糖や小豆が、北海道の畑でつくられていることを知ってもらう良い機会になった」と良い評価をいただいています。
こうした食育を通じて、子どもたちが北海道の農産物について学び、実際に味わうことで地元農産物や農業に対する理解を醸成し、将来北海道農産物のファンになってくれることを期待しています。
今回、学校給食で地元農産物を提供できたことは、今後の消費拡大に繫がる可能性があると感じています。各学校からは、事業の意義も理解していただき、今後も継続してもらいたい旨の意見も寄せられています。今後も、北海道で作られた砂糖や農産物の消費拡大に向けて様々な取組を検討していきたいと考えています。