事例紹介
コロナ禍で外食需要が縮小、販売減少の中、「学校給食」に和歌山名産「熊野牛」を提供。
カネナカ水産株式会社
和歌山県
取組E
学校給食への食材提供

コロナ禍がもたらした大打撃の中、高級食材を扱う仲卸業者が見出した活路
当社は、和歌山市中央卸売市場にて、水産物を中心とした仲卸業を営んでいます。主な顧客はホテルやレストランなどの高級飲食店。また、今から約3年前に食肉販売許可も取得しました。水産業というのは天候等の自然環境に影響されるため、ビジネスとしては不安定。ある程度販売数量が見込める食肉を手掛けることで、会社の収益を安定させたいと考え、食肉販売業をスタートさせました。
今回のコロナ禍は当社にとって大打撃でした。外食需要が縮小し、当社が得意とする高級食材の販売が大幅に減少。単価も下がりました。顧客が飲食店中心で、スーパーなどの量販店向けの業務を行っていなかったことも販売減少に拍車がかかった一因です。また、タイ・バンコクに出資した法人があったのですが、海外輸出も大きなダメージを受け、一旦閉鎖することになりました。そうした難局を打開すべく、今回の販路開拓事業では学校給食に向けて和歌山の名産品である「熊野牛」を提供させていただきました。
小・中学校など約120校、30000人にブランド和牛「熊野牛」を提供

紀の川市に牧場をもつ(株)Meat Factory社が生産する和歌山県のブランド和牛「熊野牛」は、和歌山県熊野牛ブランド化推進協議会により「和歌山県優良県産品(プレミア和歌山)」に認定されています。コロナ禍で販売量が下がったものの、事業を継続していくためには飼育数や生産場所を一定程度確保する必要がありました。販売量を担保し、生産者を支援するため、本事業では(株)Meat Factory社が生産したカット・スライス肉を当社が仕入れ、それらを県内の小・中学校、約120校、約30000人に提供しました。
今回の取組で私たち仲卸業者をはじめとする食肉事業者は食肉の取り扱い量が増加。コロナ禍の中で活路を見出すことができました。本事業は、地元の高級食材・特産品を子どもたちに食べてもらうことで、子どもたちの高級食材を経験する機会提供、食に対する興味や理解を向上させることが目的の一つでした。消費拡大に繫がることのみならず、地元の食材への愛着を持っていただきたいと思っています。
子どものときから、「おいしい食」の体験を積むことが人生を豊かにする

今回は学校を訪問して、食育につながるお話もさせていただきました。熊野牛は和歌山県が一生懸命にブランド化に取り組んでいる産品であること。和牛農家やお肉屋さんが手間をかけて生産・販売しているので値段は高いものの、それだけ価値があること。これらをご家族も含め多くの人に広めてもらえたら嬉しいことなど、私自身が子どもたちの前で話をさせていただきました。子どもたちには非常に好評で「柔らかくてとてもおいしい」「またやってほしい、また食べたい」などの嬉しい声を多数いただいています。
子どものときから、このような食を体験するのは大切なことだと思います。その経験を積むことで人生がより豊かになっていくのではないでしょうか。普段中々口のすることができない高級食材である「熊野牛」を提供できたことで、子どもたちの心に何かしらの足跡を残し、それが地元への愛着に繋がっていくと思います。またこうした「おいしい思い出」が、生きていく上でのモチベーションの一つになると思っています。
今後も今回のような取組を通じて、地元食材の購買向上、「熊野牛」ブランドの普及・浸透を図ると共に、子どもたちに地域の地場産品への理解を深めてもらうことに尽力していきたいと考えています。